Tajimi Custom Tiles

Blue Bottle Coffee Hong Kong Central Cafe

スキーマ建築計画

2020 | 中環, 香港 | 押出成形 | 使用面積 190m²

—— 今回オリジナルタイルを導入してくださったショップ(or スペース、プロジェクト)を簡潔にご説明いただきつつ、空間デザインのコンセプトについてお聞かせください。

ブルーボトルコーヒーはどの都市のどの店に行っても変わらない店づくりではなく、場所性に応じて各々のあり方を持ち、多様な表情を生み出す店舗づくりを行っています。また、各店舗によって素材や構成が様々であるのがブルーボトルコーヒーのショップ空間の特徴です。2020年6月に香港にオープンした店では、香港の街並みに多くみられるタイルを素材として用い、ブルーボトルコーヒー香港第一号店にふさわしい店舗を作ろうと思いました。

—— その空間内のどのような場所にタイルを使用していますか。 また、なぜその場所にタイルを用いることにしたのでしょうか。

主にメインのカウンターやベンチ、床に用い、見るだけでなく、思わず触れてしまうような、「タイルを感じられる」空間にしています。

—— 今回、タイルをオリジナルデザインで一から作ろうと思ったのはなぜでしょうか。

香港の街中で見かけるタイルは主に乾式製法で作られていて、均一な質感の印象があります。そこで、今回は伝統的な湿式製法で作ることを考えました。湿式製法で製造するタイルは、焼成時に収縮やひずみが生じ、均一な仕上がりにはなりません。 ただ、それがタイルひとつひとつに異なる表情を持たせ、特有の質感を生み出すことができ、香港にありそうでなかったカフェを作ることができると考えたからです。

—— 今回デザインされたタイルのデザインコンセプトをお聞かせください。

今回使用しているタイルは、グレーベースに白の釉薬をまだらにかけています。コンクリートで作られている既存の空間にこのタイルを用いると、タイルのまだらな白が様々なグレーを生み出し、まるで既存のコンクリートのグレーをモザイクの様に切り取ったみたいに見えます。こうして、全体として既存とタイルが調和した空間を作りました。

—— 実際にオリジナルのタイルを作ってみて、ご感想をお聞かせください。

湿式製法を用いて、グレーベースのタイルに白の釉薬を一つ一つかけ、そのかかり具合の微妙な違いで、グレーの中にも様々な表情のタイルをつくることできました。それによって、既存のコンクリートのまだらなグレーの表情と調和を図ることができたことが面白く、これはオリジナルだからこそだと思います。

—— さまざまな建材の中で「タイル」という素材にはどのようなイメージをお持ちですか?

おそらく、既製品という先入観があってか今まではあまり使うことがありませんでした。でも、多治見にいって、よくよく知っていくうちに、ものづくりの奥深さや、実験ができる感じに興味を持ちました。

—— タイルにまつわるパーソナルな記憶や思い出などがあればぜひお聞かせください。

世界的に釉薬を使用する表現は、ミラノサローネなどででもよく見かけますし、最近の風潮と言えるかもしれません。きっとそれはデザイナーにとって、コントロールしながら予想のできないことが起こる、アンコントロールさへの期待なのではないかと思っています。ひょっとしたら、3Dプリンタやレンダリングなど、自分でとことん制御できるツールを得られる昨今の状況への反動なのかもしれません。どこか外に再び事故が起きるきっかけを求めているのかなとも思います。そして、僕もそういう化学実験的なものづくりが好きです。

—— 多治見のタイルの個性、強みといえばどのような点だと思いますか?

多治見のタイルは他の国のタイルに比べて一つ一つの色や形状にまだら感があって、陶器のような日本的な独特の風合いを感じられます。 それらをより発展させ、クリエイティブに制作しようとする視点が強みだと思います。